抗不安薬

抗不安薬

 抗不安薬は不安や緊張をやわらげます。不安障害の薬物治療でメインで使われる薬です。
 だれでも心配事や不安はあるでしょう。しかし、余りにも不安が強いと、動悸やめまい、頭痛などの身体症状を招くことがあります。そんなとき、抗不安薬で症状を抑えます。
 ただし、抗不安薬は不安や緊張を軽減する薬であり、不安の根本的な原因が改善されるわけではありません。それでも苦痛が少しでも軽減し、精神が安定するのであれば、抗不安薬は治療においてとても価値のあるものだと考えられてます。
 抗不安薬にかぎらず、精神疾患の薬に抵抗感や偏見を持つ方もいると思います。しかし、日々を楽しく明るく過ごすためには有効に利用してしかるべきものだと思います。

 

抗不安薬の種類

 抗不安薬は内科、外科、産婦人科などのほとんどの診療科にある薬剤です。精神安定剤の中では効き目がとても穏やかなものです。
 抗不安薬の多くは、ベンゾジアゼピン系です。これはベンゾジアゼピン受容体にくっつきます。すると、GABA受容体を介して、ノルアドレナリン系やセロトニン系などの不安に関連する神経の機能を抑える働きをします。この作用により不安や緊張をやわらげます。

 

抗不安薬が処方される場合

 不安障害の人は、理由もなく頻繁に発生する不安感で生活に支障がでるくらい長く続きます。そういった不安感を軽減するために抗不安薬を使用します。
 その他、大きな手術の前日など患者は大きな不安やストレスを感じるものです。こういう場合に抗不安薬を処方し、緊張をやわらげることがあります。

 

抗不安薬の催眠効果

 抗不安薬には不眠を改善する効果があります。不安で眠れない人は、抗不安薬を使用することで不安が軽減し、不眠状態が軽減することがあります。
 もし、睡眠薬を用いないでも眠れるのならば、抗不安薬で眠るほうが望ましいでしょう。

 

抗不安薬を服薬するタイミング

 抗不安薬は1日3回前後の服薬が基本です。「不安を感じたら飲む」「不安なことが起こりそうな時に飲む」という頓服(とんぷく)で使用する場合もあります。
 ワイパックスは頓服で使用することの多い薬です。気分が落ち着かない時やイライラする時、これから何か不安なことが起こるような時、外出時などに飲みます。「なんかイライラするな」と思ったら、ワイパックスを飲み忘れていた」ということもよくあるそうです。

 

抗不安薬の副作用

 ふらつく、眠くなるといった副作用がみられます。しかし、それはリラックスしてきたことの現れでもあります。
 総じて抗不安薬の副作用はたいしたものではありません。

抗不安薬一覧

ベンゾジアゼピン系抗不安薬
種類 一般名 主な商品名
短時間型 エチゾラム デパス
クロチアゼパム リーゼ
フルタゾラム コレミナール
中時間型 アルプラゾラム コンスタン
フルジアゼパム エリスパン
ブロマゼパム レキソタン
ロラゼパム ワイパックス
長時間型 オキサゾラム セレナール
クロキサゾラム セパゾン
クロラゼプ酸2カリウム メンドン
クロルジアゼポキシド コンスーン、バランス
ジアゼパム セルシン
メキサゾラム メレックス
メダゼパム レスミット
超長時間型 プラゼパム セダプランコーワ
フルトプラゼパム レスタス
ロフラゼプ酸エチル メイラックス
トフィソパム グランダキシン

 

その他の抗不安薬
一般名 主な商品名
ヒドロキシジン塩酸塩 アタラックス
ヒドロキシジンパモ酸塩 アタラックスP
タンドスピロンクエン酸塩 セディール