強迫性障害の一般的な症状
強迫性障害は、「強迫観念」に基づいた「強迫行為」が現れる障害です。
強迫観念
繰り返し浮かんでくる非合理的な考え、言葉、イメージ、衝動などで、強い不安や恐怖を引き起こすものを強迫観念といいます。「〜したらどうしよう」「〜なのではないか」といった考えが頭に浮かび離れません。
例えば次のようなものがあります。
- 必要以上に汚れを気にする→不潔恐怖
- 手がバイ菌に汚染されていると感じる→不潔恐怖
- カギを閉めたかどうかが不安→確認強迫
- 高いところから飛び降りてしまうのではないか、ホームに飛び込んでしまうのではないか等、自分を傷つけてしまうのではないかという不安
- 自分の手が勝手に動いて人を叩いてしまうのではという不安
- 自分の近くに危険物があるのではないかという不安
- 会話の中で相手に何か悪いことを言ったのではないかという不安
- 尿や便に関する過剰な心配
- 4や9といった縁起が悪いとされている数字が気になる
- 本が50音順に並んでいないと気が済まない
強迫行為
強迫観念による不安や苦痛を一時的に和らげようとして起こす、無意味だとわかっていてもやらないと気が済まない、反復的な行為を強迫行為といいます。強迫性障害の人は、強迫観念にかられると強迫行為を行わずにはいられなくなります。それはさしずめ「儀式」のようにもみえるものです。
例えば次のようなものがあります。
- 何度も手を洗う→洗浄強迫
- 戸締まりを何度も確認する
- 強迫観念を打ち消すために、それを打ち消す言葉を繰り返しつぶやく
- 数字の羅列を見ると数え上げなければ気が済まない
- ある言葉を決まった数だけつぶやく、体の一部を決まった回数だけ洗うなど、正確なパターンを繰り返す→儀式的行為
- 異常な整頓癖、収集癖
- 思ったことは全て質問しないと気が済まない
- 頭のなかで呪文を唱える
強迫行為は本人に一時の安心を与えます。しかし、それは長続きしません。またすぐに強迫観念が浮かび、強迫行為を行ってしまいます。強迫行為がちゃんとできたか不安になり、強迫行為を繰り返すようなこともあります。
誰でも、”げんをかつぐ”意味で何かしらの行為をすることはあるでしょう。しかし、1日に何度も繰り返さないと気が済まないようでしたら、強迫性障害の可能性を疑いましょう。
強迫性障害に関するデータ、推察
- 強迫性障害は、青年期または成人期の早い段階で始まることが多い。
- 男性のほうが早い年齢で発症することが多い。
- 子供のころに無理を強いるような親に育てられると、強迫性障害になりやすいといわれている。
- 日本人は強迫性障害になりやすい傾向にある。日本人の真面目さ、几帳面さ、責任感の強さの起因となっているといわれている。
繰り返し起こる不安(強迫観念)がバカバカしいことは本人も分かっているのですが、それを打ち消す行為(強迫行為)がやめられないところに、強迫性障害の特徴があります。わかっているのにやめられないのです。そのために多くの時間やエネルギーを使い、仕事や日常生活に支障が出てしまいます。なかには仕事を続けられなくなったり、人間関係を拒んで引きこもりのような状態になってしまうこともあります。
こちらも参考にしてください=>強迫性障害の実態
強迫性障害の症状例、潔癖症との違いなど。