パニック障害

パニック障害

 パニック障害では、突然、動悸や息切れ、めまいや吐き気などのパニック発作におそわれます。前兆もなく突然に起こるのが特徴的です。パニック発作は何回も起き、苦痛を感じて日常生活に支障をきたします。また、パニック発作が起こったらどうしようという不安のために行動が制限されてしまいます。

 

パニック障害の症状

 パニック障害は、動悸や息切れ、発汗、不快感などの身体症状を伴って、強い不安感や恐怖感が突然起こるパニック発作を起こします。
 パニック発作の主な症状には次のようなものがあります。

  • 動悸
  • 身震い、手足の震え
  • 発汗
  • 熱っぽさ
  • 息切れ
  • 息苦しさ、窒息感
  • 胸の圧迫感・痛み
  • 吐き気・腹部の不快感
  • めまい、ふらつき
  • 気が遠くなる感じ
  • 自分自身が傍観者であるかのように感じる(離人症状)

 1回のパニック発作で、これらの症状のうち、1つだけが起こるわけではありません。動悸と息切れ、めまいが同時に現れるなど、いくつかの症状が組み合わさって起こります。
 そして、パニック発作が起こっている間は「このままおかしくなってしまうのではないか?」「このまま死んでしまうのではないか?」という激しい不安や恐怖を感じます。

 

パニック発作により広場恐怖を伴うことも

 パニック発作は場所に関係なく起こりますが、エレベーターのような逃げ場のない空間で特に起こりやすい傾向にあります。
 人前でパニック発作を起こすと、また起こすのではないかという「予期不安」と呼ばれるを恐れを感じます。そして、電車やバス、エレベーターなどに乗れなくなったり、人混みをさけるようになります。このように、何があっても誰の助けも得られない、すぐには逃げられない場所に恐怖を感じ、一人で外出や乗り物に乗れなくなったりすることを「広場恐怖」と呼びます。パニック障害には、この広場恐怖を伴うもの伴わないものがあります。
 広場恐怖を持つ人は、人のいる場所を恐れるので、仕事や人間関係など普通の社会生活を送るのも大変です。この状態が長く続くとうつ状態になることも多くあります。

 

パニック発作を忘れるためにアルコールに走ることも

 パニック発作の辛さを忘れるために、アルコールに頼る人も少なくありません。その結果、アルコール依存症になってしまうケースも多くあります。

 

引きこもりになる人も

 パニック発作を恐れ、外出する気がなくなります。ひどくなると引きこもりになる人もいます。

 

パニック障害と似た症状の病気

 パニック障害と似た症状が現れる病気を紹介します。これらの病気は、症状は似ていますが、治療法がまったく異なります。自分で判断せず、専門医の診断を受けましょう。

  • パセドウ病などの甲状腺機能亢進症
  • 低血糖発作
  • 狭心症・心筋梗塞
  • てんかん
  • 脳血管障害
  • 熱中症
  • 統合失調症

パニック障害と闘っている方の体験談

 パニック障害と闘っている方の体験談を紹介します。

 パニック障害は他人事だと思っていました。でも、一度かかると本当につらく悲しい日々が待ってました。私のきっかけは仕事の疲れと孤立感からでした。発作も一人にいるときになることが多いので、一人になることが恐怖でした。ほんとうであれば家族が安らぎになるはずだったのに、当時は家庭内がうまくいってなく、家族といると自分が自分でいられなくなるという悪循環でした。家庭内がうまくいかなくなったことで、仕事へ逃避することも多かったです。

 

 仕事は一人黙々と作業する内容だったので、集中してる時はよかったのですが、ふと力が抜けたときに襲われる孤独感は発作の引き金になりました。症状は過呼吸、不安感、汗、動悸でした。最初のころは人にばれないようにと思ってい我慢していましたが、そのうち家から一歩も出れなくなる日がありました。やっとの思いで心療内科を受診し、最初のころは薬を飲むタイミングもうまく取れず、慣れるまで大変でしたが、最近では手の震えが出てきたらすぐに薬を飲むと、比較的良くなることがわかりました。治療を始めてから、数か月してやっと一人で家に出られるようになりました。その頃には家族も理解してくれるようになっていました。少しずつ家の状況が落ち着いてきたことで、私の症状も治まって来たかに見えましたが、忘れたころに突如襲われる孤独感から、たびたびパニック発作が出ることがありました。

 

 パニック障害の治療は、一進一退でしたが、徐々に良くなっていくのが自分でも実感できていたので、頑張れた部分もあります。いまでも一人でどこかに行くのは不安です。でも、どういうときに発作が出て、どのよう鬼自分で対処するかがつかめてきたのが大きかったです。7年ほどたって、いまは完治することができました。治療でお薬を飲み始めたと同時に、セラピーに通うようになりました。自分の過去等をさかのぼっていく治療でしたが、このセラピーを受けてから、自分が生まれ変わったように少し前向きにいろいろなことが考えられるようになったのです。パニック障害になったころ、私はこの病気は一生付き合っていくのかと絶望感に襲われたこともありました。でも、もしいまパニック障害で悩まれている方がいたら、私のように良くなることもあるので、前向きに頑張りましょう。

パニック障害の原因

 今のところ、パニック障害の直接の原因は、脳の青斑核(せいはんかく)の誤作動や脳内の神経伝達物質の分泌異常といわれています。しかし、不明なところが多く、実際にパニック障害になってしまった方は、原因については深く考え込まないようにしましょう。

 

過労やストレスが引き金になることもある

 仕事の極度なストレス、連日の長時間労働、肉体的な疲労はパニック障害の誘因となりえます。日頃からストレスを減らすようにしましょう。

 

パニック障害になるのは性格のせいではありません

 パニック障害になるのは、気が弱いからだとか、性格が優しすぎるからだ、気ぜわしい性格だからだなどといわれますが、実際は性格は関係ありません。
 どんなに頑丈な人でも気丈な人でもパニック障害になる可能性はあります。
 大切なのは、もしパニック障害にかかっても根気よく治療する意志です。

パニック障害記事一覧

パニック障害の症例

 パニック障害では、突然、動悸や息切れ、めまいや吐き気などの発作におそわれます。前兆もなく突然に起こるのが特徴的です。発作は何回も起き、苦痛を感じて日常生活に支障をきたします。このコーナーでは様々な状況でのパニック障害の症例を紹介します。

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