予期不安

予期不安

 予期不安とは、まだ起きていないことを予測し、根拠の無い不安を感じることです。パニック障害の予期不安では、パニック発作を起こした人が「また発作が起きたらどうしよう」と強い不安を感じます。パニック発作がいつどこで起きるのかわからないことが強い不安をよんでいるのです。パニック障害では、パニック発作に続いて予期不安が起こるのが特徴です。

 

予期不安の内容

 予期不安では次のような不安が現れます。

 

また発作が起こるのではないか

 一度パニック発作を起こすと、再びパニック発作を起こすことが怖くなります。予期不安でもっとも多く感じる不安がこの「また発作がおきたらどうしよう」という不安です。強い身体症状によって、恐怖感や不安感が心に焼きついてしまうからです。

 

発作によって自分の身に悪いことが起こるのではないか

 パニック発作によって自分の身に何か悪いことが起こるのではないかと不安になります。具体的には次のようなものです。

  • 酷い病気になってしまうのではないか
  • 死んでしまうのではないか
  • 事故を起こしてしまうのではないか

 パニック発作を繰り返すことで、今は健康でもいずれは病気になってしまうのではないかと考えこんでしまったり、エスカレートすると死んでしまうのではないかと思い悩んでしまうこともあります。パニック発作の異常な動悸や窒息感は死を予感させるものがあります。しかし、パニック発作で窒息することはありません。落ち着いて対処することが大切です。
 また、パニック発作が原因で事故を起こした例はほとんどありません。もし車の運転中に発作が起きたら、路肩に止めて休みましょう。

 

発作が起きても誰も助けてくれないのではないか

 「発作が起こっても誰も助けてくれないのではないか」「発作を起こした場所から逃げられないのではないか」という不安は、予期不安でも比較的多くみられるものです。
 このような不安により、発作を起こした場所を避けるようになり、広場恐怖へつながっていきます。

 

発作のときに気が狂ってしまうのではないか

 パニック発作では突然強い身体症状あらわれるので、気が狂ってしまうのではないかと不安になります。また、気を失ってしまうのではないかと不安になる人もいます。
 パニック発作では失神してしまう例もありますが、たいてい気が遠くなるような感じがするだけです。また、パニック発作で発狂してしまうことはありません。

 

発作により恥をかいてしまうのではないか

 発作により、倒れたり嘔吐したり、失禁したりしてしまったらどうしようと不安になります。またそのことにより、周りの人に迷惑をかけるのではないかと不安になります。たいてい取り越し苦労に終わるのですが、当の本人にとっては、不安でしかたありません。専門医で適切な治療を受けることが大切です。

 

パニック発作自体は短時間で必ず治まるので、実際には心配するような状況になることはありません。

普通の不安とパニック障害の予期不安との違い

 通常、自分の身に危険が迫った時に不安を感じます。これはいわば普通の不安です。
 しかし、パニック障害の予期不安では、実際には目の前に不安はなく、不安の対象は漠然としているのに、不安が強くなるのです。この不安は耐えられないほど重いものから軽いものまで、頻繁に起こるものからときどきかすめる程度のものまでと様々あります。

 

 不安が軽く頻度もそれほど高くなくても、長く続けば、本人にとってはとてもつらいものになります。
 パニック障害の診断基準では、パニック発作に加えて、予期不安が1ヶ月以上続くことが条件にあります。また、パニック発作があっても予期不安がなければパニック障害とは診断されません。

 

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