認知行動療法
パニック障害では、精神療法として認知行動療法が取り入れられることがあります。認知行動療法は、予期不安や広場恐怖の改善に大きな力となります。
パニック障害の方は、次のような認知の歪み(誤った考え方のクセ)が染み付いてしまいがちです。
- 心臓がバクバクすると、このまま死んでしまうのでは?と考える。
- 電車に乗ると必ずパニック発作が起こるはずだと根拠もなく断定してしまう。
- また発作を起こすかも?などととマイナス思考になる。
- 一生治らないのでは?などと極端に考える。
認知行動療法ではこのような認知の歪みを修正していきます。
認知行動療法の手順
認知行動療法の一般的な手順を紹介します。
1.心理教育を受ける
まず心理教育を受けます。パニック障害の症状であるパニック発作、予期不安、広場恐怖に関する知識と認知行動療法の目的を正しく理解することができます。
2.症状の記録
自分のパニック障害に関する状態を記録します。記録することで、自分がどんな状況に弱いのか、どんな発作が起こるのか、何を避けるのかということを客観的に知ることができます。
3.リラクセーションの訓練
腹式呼吸や自律訓練法、筋弛緩法といったリラクセーション法の訓練を受けます。方法を教わり、自分でできるようにします。日常にリラクセーションを取り入れることで心を落ち着かせます。
4.認知の再構築
自分のパニック障害の症状や感覚に対する考え方に間違いはなかったか治験者と一緒に検討します。間違いがあれば考え方を改め、認知を再構築します。
5.暴露
最後の難関がこの暴露です。暴露とは、実際に行動して、恐れている状況に身をさらすことです。例えば、電車に恐れを抱いている人が、あえて電車に乗るというものです。しかし、いきなり満員電車に乗り込むなどといったことはしません。段階的に慣らしていくような計画を作り、慎重に進めます。
電車が恐いなら、まずはプラットフォームに立つところから始めます。クリアできたら1駅乗ってみる。それもできたら急行に乗ってみるというように進めていきます。また、家族が同伴したり、集団で行ったりするケースもあります。
認知行動療法のメリット・注意点
認知行動療法のメリット
パニック障害で認知行動療法を受けた人は、比較的再発率が低いというデータがあります。また、治療期間が短く、本人が能動的に治療に取り組めるところも良い点です。
認知行動療法だけでも、予期不安や広場恐怖の改善に大いに役立ちますが、薬物療法と併用することでさらに効果が高くなります。また、自律訓練法や腹式呼吸、筋弛緩法などを生活に取り組むとさらに効果的です。
能動的に取り組むことができ、自分で治してやろうという意志が生まれやすいのもメリットです。
認知行動療法の注意点
認知行動療法にも副作用があります。自分が恐れていることに対峙するわけですから、当然最初のうちは不安が増大することもあります。治療を続けていくうちに、治験者に依存してしまうこともありえます。また、もし、治療がうまくいかずに挫折してしまった時に、自己嫌悪に陥り余計に症状が悪化することもあります。
そのようなことにならないために、無理をしないで着実にクリアしていくようにしましょう。また、体調の悪い日は認知行動療法は行わないようにしましょう。
パニック障害の認知行動療法関連ページ
- パニック障害の相談窓口、病院や医師の探し方
- パニック障害かもしれないと思ったら専門医を受診しましょう。パニック障害の相談窓口について紹介します。良い病院や良い医師を探すポイントも紹介します。
- パニック障害の診察のポイント
- パニック障害の診察においては、医師と二人三脚で治療していくことを念頭に置き、医師を信頼し、前向きに望みましょう。
- パニック障害の薬
- パニック障害の薬について紹介します。
- パニック障害の予防
- パニック障害の予防について紹介します。